前号にて異文化の芸事は(私の場合はアメリカのジャズピアノ)
馴染むのに時間が掛かると書きましたが、そこには何より「英語」という大きな
壁が立ちはだかったいたからです。何より留学とは一にも二にもその国の
言葉が話せないと大変不便で困りました。
私の場合は音大でのジャズピアノ専攻でしたから英語とはそれを得る
ための手段でした。外国で暮らしていれば「そのうち英語が自然に理解
出来て、適当に話せるようになるだろう!」といううわさ話が当時はありましたが
何十年アメリカに住んでいても英語のほとんど話せない日本人もおりま
したし、1,2年しか住んでいないのに流暢な会話が出来る人もいました。
当たり前の事ですが、つまりただ居るだけでは全く進歩はないという事が
すぐにわかりました。
英語をどこまで理解して話せたらマスター出来たというのでしょうか?・・・
勿論そのようなものは、何の取り決めもありませんしキリもないのですが、
一応生活が出来てある程度自分の意見が言える位でしょうか?勿論
会話とは相手がいての話ですから、ある程度双方向でなくてはなりません。
そこで一刻も早く英語を習得するために当時私がしたことは、
1.まずはざーっとトラベル会話のテキストを何冊か見て最低限必要な
ことをおぼえる。
「あれが欲しい、これが欲しい、ここに行きたい、何時に始まるの?」など
などですね。まだこの段階では相手の話す事が理解出来なくても仕方
ありません。まずはトラベル会話です。これが出来ないと外国生活では
ほぼ赤ん坊以下、病気にはなれない、ライフラインが確保できないな
ど、つまり生活が出来ない、または最悪は命に関わる結果に繋がってしま
うかもしれません。
2.何より単語! 使用頻度の高そうな動詞と名詞を覚える、私達は
少なからず中学生の頃から英語の授業で少しは習っているから500~1000単語位までは
以外とすぐに覚えられました。こ難しい事を考えていたら会話が成りたたなくなってしまうので文
法などはとにかく後回し!実感したのは”書いて覚える”ということでした。
逆に言うと書かないと覚えられませでした。子供の漢字の書き取り練習
みたいなものです。日本語でも実際私達が日常会話で使っている単
語は2000単語位と言われています。しかし知っている(理解出来る)
単語となると仮に一年に一度も聞かない、話さない単語でも数万語
になるといわれています。逆に使用頻度の高い単語を2000語位知っ
ていると何語でも日常会話は何とかなりました。
3.恥を捨てる!
日本人は恥をかくということに気にする。日本に居る外国人が「この人
日本語が上手だな「」と感じることが多々あります。勿論本当に流暢
に日本人より美しい日本語を話す外国人もいますが、大抵はちょっと
不自然な日本語ですよね。しかし何よりその会話を聴きとる私達は日
本語のネイティブですから、彼等が少し位おかしな日本語を話して
も全部脳内にて修正されて理解出来てしまいます。つまり外国人とそ
の国の言葉を話す時はこの逆になり、私が多少、そしてかなりおかしな
英語を話してもほぼ全部理解していただけてしまうのです。
4.話す!
3.と順番が逆だと思う方もいるかと思いますが、とにかく恥を捨てない
と話すことに大きなブレーキが掛かってしまうために、恥を捨てれたら次
は何でもいいから単語を並べて話す事でした。英語に限らず外国語
は日本語がそのままその国の言葉に置き換わらない表現もたくさんあ
り、そのような文法的なものは後回しにしました。外国語を話すとは同
時に聞き取りも必要です。これは話すの逆ですが私は話すことより最
後まで苦労しました。ある程度の事までは理解出来ますが、相手に
は当然方言もありますし、絶対にテキストには載っていない言葉や表
現もあり、結局ひとつひとつ知って慣れるしかありませんでした。ただあ
る時気がついた事があります。外人が話している時の彼等の口の動
きを良く見ているのも大事です。ただ音だけを聞いているより何を言って
いるか理解するための助けになりました。
5.日記を書く!
私にとっての英語(他の外国語も)マスターの一番のお薦めです。会話
の文型は簡単な現在形と簡単な過去形でなんとかなります。あとは単語や
熟語を序所に増やすていくのですが会話はいかに早く日本語を英語
表現に置き換えるかというのが課題なのです。これに尽きます。パッと
英語を話さなくてはいけない時、文章が浮かべば良いのですが、単
語しかわからない、その単語も知らない事すらある・・・しかし実際の会
話では考えている時間はありません。日記を書くと考える時間があり、
書くという作業から記憶に残りやすくなります。英語で日記を書いたら
半年位で何とか言いたい事が言えるようになってきました。
(栗田屋本店 彩り通信 掲載コラム 2019/3)