今日はちょっとジャズについてお話をします。ジャズは19
世紀末から20世紀初頭にかけて誕生し、簡単に言いますとクラ
シック音楽とアフリカ系アメリカ人の独特のリズム感が融合して
できたものです。
アメリカのニューオリンズが発祥の地とされ、その後禁酒法や第
一次世界大戦から大恐慌までと、大きな情勢の渦の中でアメリ
カを代表する音楽スタイルとなりました。
そして爆発的な規模で急速に大都市へと広がりました・・・・その
要因はズバリ、ラジオ放送とレコードの誕生があったからです。
初期のジャズはマーチングバンドのようなブンチャカブンチャ
カ、行進曲みたいな感じでした。これが①デキシーランドジャズ
と呼ばれます、元気な雰囲気の音楽ですが、不思議な事に演
奏のテンポを遅くゆ~っくりにすると見事に寂しくなり、葬式にも使
われるようになりました。
その後約10年もすると今度はまったく異なる雰囲気のジャズが流
行りだしました。キーワードは「甘く、優しい」です。皆さんご存知の
ベニーグッドマン楽団やグレンミラー楽団などの登場です。こ
れが②スイングジャズの誕生です。人々は音楽に甘く優しい夢
を抱いたのですね。さてまた10年もするとこの「甘さ」に飽きた奏者
達が現れました。
これが③ビーバップジャズとか④モダンジャズと呼ばれるジャ
ズの誕生です。これまで写実的な絵画のように描かれた美しい
メロディラインは、抽象画のように一見わかりにくく、聞き手よりも
奏者主体のきわめて個性的な表現に移り変わっていきました。
その後いろいろな演奏家によってジャズはさらにハードでクール
なものになり、途中電子楽器などの台頭によりさらに進化を続け
ましたが、しかしジャズという音楽ジャンルは今から約40年近く
前に原点回帰のような動きがあり、今日は新しいものを求めるより
も古きを大切に崇めながら楽しむ音楽へと落ち着きました。
優しくきれいなジャズはスイングジャズ、ちょっとわかりにくくゴリゴ
リとアドリブを奏でるはモダンジャズと大きく二つにわけていただく
とジャズは何かと明確になります。
(栗田屋本店 彩り通信 掲載コラム2018/9)