~初代飼い猫パコとの出会いをさせてくれた恩人とのエピソードです。
リーンリーンと私のアパートの電話が鳴りました。当時私はバ
ークリー音大の3年でアメリカ生活にも大分慣れてきて、あれは
確かロンドンのライブからボストンの自室に戻ったところでした。
「クリちゃん!ヒロシだよ!」「静岡のヒロシだよ!」どこかで聞い
たことのある声が…あれ?誰?なんとその声は地元静岡の小
中学の同級生のヤマモトヒロシくんでした。ヤマモトヒロシくんと
は小学生の時以来ほとんど交流がなく、しかしお互いにアメリカ
に留学していることは風の便りに何となく知っている程度でした。そ
んな彼が何故私のアパートの電話番号を知ったのでしょうか?
まずこれが疑問でした。後になってわかった事ですが、彼とはお
互いに知らずして目と鼻の先程の距離に1年間も住んでいたの
です。行きつけの店や銀行も同じでしたが、偶然にも会うことは
なかったのです。
ヒロシくんは当時としては珍しく高校からアメリカに留学しており、
ボストンのノースイースタン大学の学生で音楽とは関係がな
くビジネスを専攻していました。さてなぜヒロシくんが私に連絡を
取ってきたのでしょう?なんと彼は数日前にロサンゼルスに旅行
中に偶然会った日本人から私の事を聞いたとのことでした。私
の友人チハルヴォーンさんがボストンからロスにこの年の一年
程前に移住しておりました。しかもロスのホテルのロビーてに何と
なく目が合って、互いに日本人同士とわかり話が始まったそうで
す。
ヒロシくん「私は現在ボストン在住ですが、観光でロスに来ました」
チハルさん「エッ、私!昨年までボストンに住んでいました。
日本はどちらのご出身ですか?」
ヒロシくん「僕は静岡県静岡市出身です」
チハルさん「そうですか、ボストンに私の友人で静岡出身のピ
アニストがいましたよ…名前は栗田丈資さん…」
ヒロシくん「エッ、その人…もしかして 僕の昔の同級生の栗田く
んかもしれない。実家が陶器店をしている…」
ここでついに私につながり、ヒロシくんはチハルさんから私のアパ
ートの電話番号を教えてもらったとの事でした。ボストンとロスの
距離は約3,000マイル(約4,800キロ)です。互いに会わずし
て一年も同じ地域に暮らしていたのに、こんな離れた場所で出
会いのきっかけあったとは世界は狭い!!時は1979年の秋の事でした。
実は私の「世界は狭い」の
お話はもっとすごい偶然がこれからも何度かありました。また次回
のお楽しみに!それからというもの、ヒロシくんとはアメリカで
お互いの目指すものを通じておもし
ろい経験も何度かしました…
(栗田屋本店 彩り通信 掲載コラム 2019/9)